日本政策金融公庫 国民生活事業・中小企業事業・農林水産事業 それぞれの役割と利用について

編集:2025年4月

日本政策金融公庫の名前を聞いたことがある方は多いと思いますが、実は日本政策金融公庫は幅広い事業者の支援を行うべく、国民生活事業・中小企業事業・農林水産事業の3つの機能に分かれています。今回は、それぞれの機能が担っている役割や特徴について紹介します。

日本政策金融公庫について

日本政策金融公庫は株式会社です。ただし、一般的な株式会社と異なり、日本政府が100%出資する株式会社です。政府が株主の会社ですから、国の政策目的である中小企業や小規模企業、農林水産業などの経営の成長や安定、地域経済の活性化、金融安定などを支える金融支援を行うことを目的としています。また、民間の金融機関を補完する役割も担っています。

日本政策金融公庫の3つの機能

日本政策金融公庫は、大きく以下の3つの機能にわけて各種支援を行っています。

国民生活事業

役割

国民生活事業は、地域の身近な金融機関として、小規模事業者や創業者の方に対する事業資金の融資や入学資金などの学費を必要とする方へ向けた教育資金の融資などを行っています。融資制度によっては、無担保・無保証人、低金利で融資を受けられる制度もあるため、事業を始めたばかりの起業家でも活用しやすい制度設計となっています。

特徴

➀小規模事業者へ小口無担保融資が主体
国民生活事業では、小口の無担保融資が主体であり、約8割が1,000万円以下となっており、1先あたりの平均融資残高は877万円と小口融資が主体で、全体の9割以上が無担保融資となっています。

②経営環境の変化に対する支援が手厚い
地震、台風、豪雨などの災害時、感染症の拡大などの経営環境の変化により影響を受けた事業者に対して積極的に支援を行っています。

③地域金融機関や、商工会議所・商工会等との連携が強い
地域金融機関、商工会・商工会議所、税理士、公認会計士、中小企業診断士などの専門機関等と連携した支援制度も多くあります。単に融資を受けるだけでなく、アドバイスや事業計画書策定支援等を受けることができます。

中小企業事業

役割

中小企業事業は、融資・信用保険などにより、中小企業・小規模事業者の成長・発展を金融面や情報提供面から民間金融機関と協調して支援しています。なお、国民生活事業と異なる点は対象先企業の売上規模です。一般には、売上約3億円以上の規模の企業であれば中小企業事業を利用することができると言われています。

特徴

➀長期資金を専門に取り扱う
 中小企業事業では、長期資金を専門に取り扱っています。実際に融資の半分以上が期間5年超の長期資金です。また、金利は固定になっており返済計画が立てやすいのが特徴です。また、1企業あたりの平均融資残高は9,700万円で、融資残高の約79%が従業員20人以上、約90%が資本金1,000万円以上の先となっています。

②特別貸付を推進
新事業、事業承継、海外展開、地域経済の活性化、雇用確保に貢献する設備投資の喚起など、政策性の高い分野に対して資金を供給する「特別貸付」を推進しています。

③信用補完機能の発揮
中小企業事業では、信用保証協会が行う債務の保証について保険を行っています。これにより、信用保証制度と一体となって、中小企業・小規模事業者の円滑な資金調達を支えています。

農林水産事業

役割

農林水産事業では、農林漁業の特性を考慮した長期の融資を行っています。農林漁業の「環境変化による影響を受けやすく収益が不安定」や「事業サイクルが長いことによる投資回収の長期化」といった特性を踏まえて農林水産業の持続的かつ健全な発展に資する長期の資金を供給しています。

特徴

➀自然災害や伝染病に対したセーフティネット機能を発揮
 地震、台風、津波などの自然災害や口蹄疫などの家畜伝染病、原油価格高騰などの影響により、一時的に経営が悪化した農林漁業者の皆様に長期運転資金をはじめとする融資を通じた支援を行っています。

②積極的な担い手の支援
 農林水産業の担い手不足は長期的な課題です。構造改革が進む中で攻めの農林水産業を展開する担い手を積極的に支援しています。

③コンサルティング融資活動の推進
 お客様の経営課題が高度化かる多様化する中で、お客様の現状と課題を把握・共有し、伴走型で課題解決を支援する「コンサルティング融資活動」の取り組みを推進しています。例えば、経営ステージに応じたお客様の課題解決、財務分析によつ現状と課題の共有、事業承継の支援などを行っています。

まとめ

いかがでしょうか。今回は日本政策金融公庫の機能や特徴、役割について紹介しました。日本政策金融公庫は民間金融機関の取り組みを補完する役割を持ち、さまざまなメリットが得られる融資制度が揃っています。ぜひ、資金調達の手段として検討してみてください。

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